【野球賭博問題】新たな自己申告者現れず そもそも野球賭博の法的な問題とは?

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2016年4月26日、プロ野球の野球賭博問題について日本野球機構(NPB)の井原敦事務局長は都内で、6日から25日まで設けられていた当事者の「自主申告」を促す特別措置の適用期間の結果として「申告は1件もありませんでした」と発表しました。(日刊スポーツ)

 

また井原事務局長は「調査委員会は自主申告制度とは別に有害 行為に関しては調査を進めていました。今後も調査委員会の調査は継続ということになります」とも話し、「自主申告」以外の相談などもなかったということです。

 

この野球賭博の問題について、津田岳宏(つだ たかひろ)弁護士は次のような見解を述べています。(『罪に問われる賭博とそうでない賭博 法律論から見た日本の矛盾』・iRONNA)

 

–<記事抜粋>–

この問題は、刑法上の問題と野球協約上の問題があり、両者は区別して論じるべきなのであるが、報道等を見ると、この点がしっかり区別されているとは言いがたい。そこで本稿は、上記の点を区別して論じていく。
まずは刑法上の問題について。
野球の勝敗について金を賭けると賭博罪(刑法185条)にあたる。勝った方が明日のランチをおごる、という程度の賭けなら賭博罪にはならないが、金を賭けるとたとえ少額でも賭博罪にあたるというのが現在の判例理論だ。
もっとも、検察官が賭博捜査の実務について著した文献には「些細な賭けまで全て検挙することは国民の無用の反発を買うことになる」とも書かれており、たとえば勝った方が500円を払う、程度の賭けであれば、形式的には賭博罪にあたるが、実際に捕まる可能性は低い。
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本件では、各選手が野球賭博をしたことが賭博罪にあたることは明白なのであるが、その点の刑法上の責任が重いは言いがたい(もちろん違法行為ではある。軽重の問題として軽いということ)。各選手も、仮に起訴されたとしても 軽い罰金刑にとどまるであろうし、起訴されない可能性もある。おなじく風紀罪である覚せい剤などと比すると、格段に軽い処分である。
本件では、各選手は八百長には手を出していないようだ。この点、仮に選手が八百長に手を出したらどうなるか。こうなると、刑法上の責任も賭博罪にとどまら なくなる。八百長によってイカサマ賭博に加担すれば、賭博罪ではなく詐欺罪のほう助(もしくは共同正犯)に該当する。イカサマ賭博は賭博罪ではなく詐欺罪 で処罰するのが判例理論である。
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また、本件のように八百長には至っていない場合でもあっても、野球賭博にはそのイメージが悪い大きな理由がある。それは、野球賭博の胴元には暴力団が絡んでいるという半ば周知の事実である。
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結局のところ、野球賭博の胴元は、大がかりに非合法なことをできるコワモテだがある種の信用ある組織、ということになり、これは暴力団をおいて他にない。その道では、野球賭博の胴元はヤクザの中でもカネを持ち信用あるヤクザでないとできない、などと言われているともいう。
以上を踏まえ、野球協約は、野球賭博にきわめて厳格な態度を示している。
野球賭博をするだけで1年ないし無期の失格処分、それがもしも所属球団について賭けたのであれば、それだけで永久追放処分である。永久追放は、内部規則における“死刑”と同義だ。最高刑である。
しかし、ことの重大さを考えれば、その重さも妥当である。プロ野球は娯楽であり、興業の一種だ。イメージは何より大事である。そのイメージに甚大な被害を与え、その存在を危うくしかねない行為が、重罪として裁かれるのはやむを得ない。
結論として、本件各選手の責任は、刑法上は重いとは言いがたい。しかし、内部規則である野球協約上は“死刑”に相当するきわめて重い責任が科される可能性もある。

–<ここまで>–

 

賭博罪(刑法185条)の条文は「賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。」とされており、ここでいう「勝った方が明日のランチをおごる」程度のものであれば「一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるとき」とみなされることになります。

 

野球賭博は八百長と違い、法的な処罰は軽いのですが野球協約による厳重な処分によって社会的な制裁を受けること、またそれにより野球業界自体の信用や人気も失墜することから野球賭博に手を染めてしまうことは非常に罪が重いと言えるでしょう。

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